秋の夜長に 超私的 24歳専業主婦が選ぶ重松清の本
こんばんは、くるんちゅです。
さて、わたしは以前こんな記事を書きました。
旦那さんがツイートしてくれていたようで、きゅうにアクセス数がふえてびっくりしました!( @ω@)
コメントもいただきました。ありがとうございます♪♪♪
そこで、お調子に乗ってまた本をランキング形式で紹介したいとおもいます。
こんどは、わたしが高校時代たくさん読んだ、重松清先生の本です。
4位 きよしこ
重松さん自身がモデルであるともいえるであろう吃音の少年が主人公の短編小説集。
吃音の少年の苦悩が、重松先生自身の感情を込めた言葉で、しかし押し付けがましくなく物語のなかで繰り返し語られ、共感からおもわず胸が苦しくなってしまいます。
というのも、わたしは吃音ではありませんが、認知機能障害によって言語を操る能力が阻害されてしまい、ことばによるコミュニケーション回路がまるで封じられてしまった経験をもつからです。
少年は願います。「町でも会社でも、うまくしゃべれないひとばかり集まって、みんな優しくて、しゃべらなくても誰もが幸せに暮らせる、そんな場所がどこかにあればいい」、と。
胸に突き刺さりました。ことばとは、なにか。ことばでうまく伝えられないからって、こころでなにもおもっていないわけじゃない。考えさせられる名作です。
3位 疾走
インパクトのある表紙が特徴の、ほかの重松作品とはすこし毛色がちがう、いわゆるノワールです。
挫折、犯罪、差別、苦悩、絶望に次ぐ絶望、渇望、そしてつながり、そしてーーー…
衝撃のラストへむかう全体の構成と文章力は、さすが重松作品というべきか、目を見張るものがあります。
重松さんは、ラストのラストで、この小説のこたえを明示しません。なにが善で、なにが悪か。それ以上に「こころ」の本質、ひいては「人間であること」の本質にどうしようもないほど切実に問いかけてくる、そんな作品です。
2位 海の見えるホテル
官能小説です。
重松さんは数冊官能小説を書かれていますが、わたしはこの本がいちばんすきです。
物語は、人生どんづまりの男性がふしぎな娼婦なぎさと出会うところからはじまります。そして彼は、わけあって中学三年生のころの初恋の女性と、あの日かなわなかった恋をやりなおすことになるのですが、彼女はいま、実はーー…。
官能小説だけあって、性描写はなかなか雰囲気がありエロティックです。
それだけでもじゅうぶんたのしめるのではないでしょうか。しかし、物語の本質は、それを含んだもっともっと純粋でうつくしい、こころとからだの「なにか」に触れるもののような気がします。
初恋のひとを思い出してしまう、だれかを無性に大切にしたい、そんな夜に。
海の見えるホテル (小学館文庫 し 5-1 なぎさの媚薬 1)
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/12/04
- メディア: 文庫
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続編も刊行されています。
1位 日曜日の夕刊
ラストは、重松さんらしい「にんげん」の生活の1カットをほんのちょっとドラマティックに描写した、すてきでやさしい短編集。
と書くと、ありがちな日常を題材にした短編集でしょ?と思われるかもしれませんが、設定はなかなか奇抜でよく練られています。
あまりに神経質でこまかい性格ゆえに女性にことごとく逃げられてしまう「チマ男」が、自分とまるで正反対のがさつな「ガサ子」と恋をして…?
大学の国文科にいるくせに、ろくに本も読まずノリだけで「太宰が好き」とか書いちゃう軽い男が、ガチすぎる太宰愛で有名な先輩に目をつけられて、最後はふたりで一緒に…?
どの小説もかわいくて、いとしくて、何度も読み返してはほっこりする、そんな本です。
いかがでしたでしょうか。
最近、重松先生の新しい本を書店でみかけたので、久しぶりに「重松ワールド」に浸って秋の夜長をすてきに過ごそうと思います。
それではまた(^^)ノシ